2022.01.12これからの雅楽
雅楽演奏家を目指す小学生 ~雅楽人インタビュー~
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優雅に狩衣で舞っております。雅楽演奏家・講師の山口創一郎です。
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今日から新コーナーを始めます。
その名も・・・
「雅楽人インタビュー」
そのまんまww
なんでこんなコーナーを設けたのか??
雅楽ってマイナーな音楽であれば、
野球とかスポーツや、
西洋音楽やその他のジャンルの芸術から見ても
若い世代や期待される人が注目される機会がない。
あるとしても仲間内や界隈(かいわい)の中だけ。
こんな状態で誰が若い頃から雅楽を志すと思うでしょうか??
注目されるのが年食ってからの音楽って・・・
未来感じないですよね??(謎にあおるw)
そんなこんな、「雅楽って面白い!楽しい!」を伝える上で
雅楽界にどんなすごい期待のホープたちがいるのか??
若かろうが、上の世代の方だろうが、
今、雅楽にホットな人たちを紹介していく。
そのような機会がない限り、
雅楽の発展はないと思うわけですね。
というわけで、
新しく雅楽人を発掘していく!
「雅楽人インタビュー」始めます!笑
トップバッターはやはりインパクトが大切・・・
どこかに雅楽をやっていて、自分とは比べ物にならないくらい、
スーパーな期待の新星はいないだろうか??
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あ・・・
めっちゃ身近にいましたね。笑
というわけで、本日は僕が主催している陽雅会や狭山雅(みやび)会の
演奏会にも出演してくれている
篳篥・舞・打ち物を担当してくれているスーパー小学6年生
前田五十鈴(いすず)君をお招きしてインタビューをさせていただきます。
彼は現在和歌山県に住んでいる小学6年生。
次は中学1年生になる雅楽界ではこれまででは考えられない逸材!
(山口は小学4年から雅楽やっていますが、比べ物にならないほどの雅楽への熱量があります。)
そんな、前田五十鈴君のこれまで、そしてこれからの歩みを聞かせていただきました!
・前田 五十鈴(いすず)君
プロフィール
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幼い頃から父親の影響で雅楽を始める。5歳の時に舞人デビュー。
小学1年生の時に先生につき、本格的に雅楽を習い始める。
これまで和歌山の神社をはじめ、奉納演奏に多数参加し、
榊葉雅楽会・鳳舞会・なんば雅楽会・狭山雅(みやび)会・
陽雅会等の演奏活動にも出演している。
山口:というわけで、本日のゲストはもはや未来のホープの雅楽奏者といっても過言ではありません。
スーパー小学6年生前田五十鈴君です!
五十鈴君:よろしくお願いします。
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五十鈴君、山口と同じく狩衣で登場です!
山口:まず最初に、五十鈴君はなんで雅楽を始めようとおもったのかな??
五十鈴君:生まれる前から、ずっと車の中で雅楽が流れていたのを聞いていたから、その影響かな??
山口:車の中で!?(←山口、普段は雅楽すら流さない奴)
それはなかなかすごい環境だね~。
五十鈴君:お父さんが雅楽を別の雅楽会でやっていて、その影響からか、
2歳か3歳くらいから、DVD見て、舞の動きの真似しだした。
山口:どういう状態!?本当に気が付けば舞を練習してたってことか~。
五十鈴君:その後、6歳(小学1年生)から篳篥を今の先生に習い始めたって感じ。
山口:なるほど!んじゃあ奏者として、
舞人として雅楽に没頭しだしたのはいつ頃からなのかな??
五十鈴君:一番最初は5歳の時に舞楽の落噂(らくそん)を舞った時かな??
山口:待て!5歳で舞楽落噂!? いわゆる「納曾利(なそり)」だよね??
習う前からもう舞手を覚えていたわけだよね??
五十鈴:最初はビデオを見ていたら覚えて、それで舞いました。
山口:もうその時点で自分とは全く次元が違う・・・笑
※ちなみに小学3年生の時に五十鈴君が舞った「落噂」がこちら。
(山口が高麗笛の音頭だったり・・・)
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雅楽に対して嫌けさや大変さはない!?
山口:んじゃあ雅楽を始めて大変だと思ったこと、
エピソードとかあったりするかな??
五十鈴君:とある神社のお祭りで、呼ばれて舞を舞った日にめちゃくちゃ暑くて・・・
その時も落噂を舞って、熱中症になりかけました。笑
山口:なるほど!暑い中で舞ったら熱中症になりかけるよねー。
てそれはどっちかというと体力的に大変やったってことやんね??
五十鈴君:はい
山口:んじゃあこれまでやってきて、練習が大変やったとか、
練習が嫌やなーって思ったことってあるの??
五十鈴君:それは全くないです。
山口:なんと!?それはうらやましい・・・子供のころって僕もそうだったけど
嫌々やる子が多かったりするけど、そういうことはないってことやんね??
五十鈴君:むしろめっちゃ楽しいから、今もやっているって感じ。
学校を休んででも雅楽をしたい!
山口:おい!学校は行きなさい!笑(←学校嫌いだった山口が言うなw)
でもそれくらい没頭してるって、本当に面白いんやねー。
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雅楽をやっているときは五十鈴君、かなり生き生きしています。
関西のみならず演奏活動をしている小学生
山口:んじゃあこれまでってどのようなところで
演奏活動いったりしているんですか??
五十鈴君:神社で奉納演奏したり、演奏会出たり、基本は住んでいる和歌山が多いけど、
大阪・奈良・兵庫・そして伊勢・愛知・東京のイベントでも出演もしました。
山口:東京や愛知や伊勢でも!?もうその年齢で県外にそれだけ演奏活動しているのはすごすぎる!
んじゃあその中で一番印象に残っている演奏はあるんかな??
五十鈴君:2つあって、一つは東京の三軒茶屋駅の真ん中で舞を舞ったときは印象に残ってて、
その時「落噂」を舞ったけど、袴(はかま)の足のひもがとれて、
足元がぶかぶか状態で舞ったこと。それも2回演奏があったのと、
人も間近で舞を見られたことが緊張しました。
山口:足元ぶかぶかで!?演奏会とかで装束のハプニングってあるあるやねー。
そして舞を間近で見られるのはめちゃくちゃ緊張するよね。もう一つは??
五十鈴君:もう一つは山口さんが主催した狭山雅(みやび)会で舞楽「貴徳」を舞った時。
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2021年10月30日 狭山雅会 はじめての雅楽Part3 舞楽「貴徳」 舞人:五十鈴君
山口:え!?つい最近wwていうかあの時めっちゃ緊張してたの??(全然気づいていなかった)
五十鈴君:あの時が一番緊張しました。
山口:五十鈴君あの時確か面デビューやったもんね。それまでは頭は面じゃなくて天冠(てんかん)
やったからってところもあったんかな??
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↑天冠 子供が舞う童舞(わらべまい)や女性が舞う際はこのパターンもあります。
五十鈴君:それもやけど、間違えたら後戻りができないというところがあって、
+リハーサルで面のひもが切れてパニックになって、
本番はひもを工夫してつけて臨みました。
山口:舞として難曲なのは確か。練習でも舞振り忘れて間違えたりしてたし
そういやそんな出来事あったねー。リハは確か僕が面をつけたから、
僕のつけ方がだめやったんやないかとひやひやしてみてたよー笑
五十鈴君:そしてその4日後に和歌山で陪臚を舞う予定もあったので、
舞手がいろいろとごちゃごちゃしたりもしていました。
山口:いやーあの時は演奏会づくしで大変やったねー。
その4日前に貴徳とか演目選んだ奴が一番あかんよなー(自分ww)
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今となっては笑い話のように話す2人。
将来は雅楽演奏家になる!?
山口:ちなみに今後の展望とかあったりするのかな??
五十鈴君:僕、今は雅楽演奏家になりたいんです。
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真剣な眼差しで話す五十鈴君
山口:What’s!?それはまじで??
逆に雅楽演奏家になりたい理由、どのような雅楽演奏家になりたいとかあったりするんかな??
五十鈴君:雅楽って、神様に捧げる音楽だって教えてもらっています。
だからこそ神様の為に雅楽を捧げることができる人になりたいからです。
山口:なんと!?あなた本当に小学6年生ですか??
っていうくらい大人のような理由にびっくりです。
ちなみにそれを思うきっかけってなんかあるの??
五十鈴君:お父さんが神社の神様をすごく信仰していて、
今も榊葉雅楽会という自分の会を主宰して神社奉仕にいってるけど、
神様に奉納する雅楽というものを一番に大切にしているので、
その姿を見てってところです。
山口:なるほど!雅楽って古来の日本において神仏に捧げる音楽だったわけだから、
それを大前提としてやっていくことってすごく大切だよね。
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「神様」を大切にしているという言葉は、もはや小学生の域を超えている。
山口:最後に五十鈴君は雅楽をずっと好きでやっているけど、雅楽の面白いところ、
楽しいところってどういうところにあると思うかな??
五十鈴君:雅楽って全部の曲の曲調が全然違って、似ているやつもあれば違うところもあるし、
いろんな種類、ジャンルがあって、高麗楽、唐楽、管絃、朗詠、催馬楽、御神楽とか、
そんなんがあって楽しければ、やっていたらそもそも楽しいです!
山口:(いや、雅楽を知らないひとは雅楽は同じ音に聞こえるらしいけど、さすが五十鈴くん!)
なるほど!やっているからこその楽しみって間違いないね!
たくさんの若い人たちが、雅楽のこの楽しさ、知ってもらえたらうれしいよね!
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五十鈴君、インタビューありがとうございました!
それにしてもインタビューしていく中で、五十鈴君のすごみがさらにわかってしまいます。
だって、僕が小学生の頃はまだ催馬楽も朗詠も御神楽も高麗楽も知らなかったんですから・・・とほほ笑
ぶっちゃけ雅楽をやっている子供を含めた若い子というのは恐らく、
僕が学生の時よりもかなり少なくなっていると感じます。
でもこれまでは家が神社・お寺・新興宗教等の理由で
やりたくなくてもやらざる負えない、
親にやらされてやっていた子や若い世代が多かったこともありました。
(山口もその1人であって今があるわけですが・・・)
それでも五十鈴君のように雅楽をすることに苦と思わない子が出てきているのは、
逆にすごくいいことで、
子供のころから自発的に好奇心をもって雅楽ができる環境って
本当に素晴らしいと思いますし、
今後も次世代の雅楽を作っていく子は、
間違いなく五十鈴君のような子が「好奇心」で
雅楽をする子たちがもっと増えてほしいし、
僕自身も、「雅楽って面白い!楽しい!」を
子供たちや若い子に伝えることはもちろんのこと、
まだ雅楽を知らない人達に伝えられるように、
まだまだ色んな面で自己研鑽をしないといけないなとも思ったインタビューでした。
次もお楽しみに!
最後まで見ていただきありがとうございました。