2020.07.27ブログ
雅楽は何で若手奏者がいないのか?

こんにちは。山口です。
今日は雅楽は何で若手奏者が少ないの?
というお題でお話をさせていただきます。
youtube版はこちらで
あれ?このお題前にもうやっていないか?と思うみなさま
その通り!2回目です!
ただし、今回は前回とはちがう視点、理由で
話していくので、是非最後までみてください。
というのも、このちゃんねるには今500人以上の方が
チャンネル登録されております。ありがとうございます。
最初ちゃんねるを解説してやり出した頃って言うのは
若い人の視聴者が多かったんですね。
25~34くらいの人が半分以上をしめているちゃんねるだったのですが
3ヵ月たった今の視聴者層をみると
おお!?
若い人減った・・・
多分正確には、若い人が減ったんじゃなくて年輩の方の試聴が
増えたんだなと思っております。
それとちょっと近い話しで、今日はなんで若い奏者が雅楽は少ないのか?
みなさんはなんでだと思いますかー?問題ですよー。
正解は多分みなさんの中でもちがうと思いますが、
「様々な理由が合わさっての結果で、若い人が見向きしなくなっている」
というのが妥当な答かと思います。
本日はそんな、様々な理由について、お話をさせて頂きたいと思います。
1, 日本の音楽教育の問題
まずここからいきましょう!
突然ですがみなさんに質問があります。
小学校や中学校の音楽の授業、何を習いましたか?
多分大体の人は
赤とんぼ歌いました!とか
エーデルワイスとか、ふるさと!
旅立ちの日に!
リコーダーやりましたー。
とか、
ベートーベン、モーツァルト、シューベルト、ゲーテ
とか
多分そんな感じだったかと思います。
シューベルトの魔王なんか最悪ですよね。嫌ほど頭の中でマイファーザーマイファーザーて流れるくらいもう頭から離れませんでしたよ。
でも一見、これが普通だと思うんですが、
童謡以外これってほとんど西洋音楽ではないですか?
じゃあ歌舞伎とか、能とか、篠笛とか、お琴とか、雅楽とか、
日本の伝統音楽とかってこれよりおおく習いましたか?
あれ?そんな習っていないですよね?
僕は小学校の頃から雅楽ができたので、
普通に楽器のテストで篳篥吹いて
音楽の評価だけめーっちゃ高かったんですが
できるってだけですげーってなっているくらい、珍しいことなんですね。
ネットでとある記事を見つけましたが、
音楽教育における「日本の音楽」に関する諸問題
降矢さんという方が書いた記事があるのですが、
この中のデータでも、
テレビの中でも、日本の音楽って全体で7%しか放映されていなかったんですよね。
これ、昭和50年代の記事ですから
てことは今はもっと少ないってことですよね?
僕はテレビ全然みないんでわからないですが
多分今もそんな放送されてないですよね?
戦後の影響で西洋音楽のを親しむ教育が強くなったおかげで、
日本人の中で日本の伝統音楽というのは「異物」のような扱われ方になっていき、
このデータによれば日本の音楽を授業の中で聞いても、関心のある子がごく少数
興味調査のなかでも「嫌い」や「わからない」という理由で敬遠される小中学生が多かったみたいですね。
要は、日本の教育上、西洋音楽に傾いた教育の仕方をしたおかげで
若い人というのは雅楽とかそういう日本の伝統音楽に対して馴染みが
全然なかったりするわけです。
実際学校の音楽の先生ですらその辺めーっちゃ知識浅はかだったりし、
そもそも、今小学校でも音楽教員専属の先生がいない学校だって最近結構あるみたいなので、
そうなるとなおさら音楽の知識が浅はかで、西洋音楽を教えるだけで手一杯になったりするわけです。
教育の問題、これは正直どうしようもなかったりするところかもしれませんね。
2, 雅楽団体の問題
とここまで日本の教育上の問題ばっかり話してきましたが
それでもまあ伝えていることは伝えている。
少なくとも越殿楽今様くらいはやっているんで、
わかる人はわかりますが
多分そっちよりも問題なのはまあここでしょう。
これ見ている人は多分雅楽団体入っている人も多かったりするんじゃないかな?
みなさんが所属している団体に20代、30代の人の割合何%いますか?
どうですかねー?
多分30代は10%いても、20代は0%に限りなく近くないですか?
10%いたら多分良い方じゃないかな?
学校の部活動とかならまあまあ、
全員10代20代なので100%なんでしょうけど。
じゃあなんで少ないのか?ここを話していきます。
多分言い訳をすれば「少子高齢化」だからじゃないの?
という人が出てくると思いますが、それは浅はかですね。
だって少子高齢化でも、
上の年代より20とか30%程度いなくなるくらいですよ?
それもまあ影響しているかと思いますが、
一番大きな影響というのは間違いなく
各団体が無意識に「サラリーマンシステム」を
未だに導入しているからです。
年功序列や男尊女卑とかってまあこの世の最悪のシステムだと山口は思っているんですが
例えば
・どれだけうまかろうが入った年数は浅いという理由だけで練習生から会員に上がれない。
最悪ですね。
・下手なのにやっている年数が長いというだけでろくでない人が講師をできてしまう。
終わっていますね
・下が入らないから年齢が若いというだけで万年下働きをさせられる。
かわいそうに
・年齢が若いというだけでどうでもいいおっさん達との会合・飲み会に出ないと行けない
最悪ですね
・年数が長いというだけでズサンな演奏しかできないのに演奏会に出れる。
いやー聞きたくないですねー。
・女性と言う理由だけで接待をしないといけない。
かわいそうに
女性という理由だけで舞えない。 これはホンマにナンセンスですね。
若い人がこんなところに誰が入りたいと思いますか?
多分団体でやっている人は口先だけ「若い人、次世代を担う雅楽奏者をー」とか
言っている人も少なからずいるとは思いますが、
そういう団体は、年々年寄りが増えていき「映えない雅楽」を作ってちゃいますよね。
写真撮られても、「装束すげー!顔見ると、うっ・・・ちょっと私には無理かな・・・」
イメージがどんどん「年輩の人しかできないもの」になっていくわけですね。
まあ伝統芸能全体がそうかもしれないんで仕方ないですが、
ここは見落としがちです。
そういう問題じゃなく、やっぱり根本的な団体の抜本的な制度に
問題があるかと見ています。
それ以外にも他団体に排他的になるところも多いですよね。
まあ理由としては、「自分よりすごい講師の影響を受けてしまう」ことに
対して嫉妬をしたり、恐れたりしてるのが丸見えだったりするんですね。
年下なのにいきりやがってとか思っちゃうんですよね?
かくいう山口も、大学は1年しか雅楽をやっていないので、多分
未だに「あいつは大学で4年間やっていないからだめだ!」
って多分山口がどんだけ血の滲む練習やら努力しようが
大学で4年間やらないと認めない人もなかにはいるかと思います。
最近はあんま言われなくなりましたが、まあ言う人が周りにいないだけかもしれませんが・・・
とまあ結構えらいいしておりますが
ぶっちゃけて言えば、「その団体で何年やった」という肩書きは正味いらないんですよね。
昔はそれでよかったんですけど、今はいるから何?ていう感じになりましたね。
じゃあ若い人らって今何を求めているかというと、
いかに時間が有益で、
コスパがよく、より上手く、演奏や経験する環境を作ることを求めていたりします。
全員がそうじゃないかもしれませんが、少なからず僕はその感覚で雅楽をやっています。
かくいう山口も最速で身につく方法とかを考えて日々、練習や行動をしているので
団体とかにはいると管別とかなんかは特に
自分の貴重な時間を奪われてしまう為、
極力団体とかでされている人は仲良くない限り
演奏以外では関わることはしないようにしているんですね。
でやっぱり団体に所属するって個人的には「めんどくさい」ところが多いですね。
このサラリーマン体質の「めんどくさい」部分がなくならない限り、
団体に若手が入らず衰退していくのは目に見えるでしょう。
3, 学校の部活動や専攻で学んだ後問題
というわけで学校の部活動後問題。
とはいえ、若い子もちゃんと部活動でやっているんですよ!
まあ大体は宗教系の学校が多いですが
東京芸術大学邦楽科・天理大学雅楽部・皇學館大学・國學院大学・天理高校・天理教校学園・天理高校二部・敬愛高校・立命館大学・同志社大学・京都大学・龍谷大学
浪速学院高校・九州大学・赤穂高校など
探せばめーっちゃ実はたくさんやっているんですよね。これはびっくりですよね?
しかし、部活動でやったとして、その後、どこでやりますか?問題。
これは結構大きな課題だったりします。
東京芸術大学なんか、かなり優秀ですよ?
音楽知識にしても雅楽の演奏技術にしても、
ただここでさえ伶楽舎や東京楽所のあきがなかったら
事務所に入るとはいえど、フリーで活動する以外に道がほとんどになるわけですよ。
まあ団体は上が詰まっているので現状入るのは難しいでしょう。
天理大学も4年間やった後の進路は、雅楽に携わる人は
ほとんどいない状況・・・
これは天理高校・天理教校学園なども同様で、
卒業後雅楽に関わる環境が人によっては全くありません。
天理に残って教内の行事で演奏や、大学のお手伝い程度でしか雅楽する
機会が学生終えた瞬間なくなっちゃいますし、
何より、天理大学に入学する子らは教会の子とかが多かったりするので、
帰ったら教会のことでお鬼のように忙しくなって練習も演奏もできなくなる子も多いです。
皇學館・國學院も神社に就職する子が多いかと思いますが、
神社の用務で楽器を演奏する機会もそこまで多くはなりません。
かくいう山口も、卒業後なくなりましたよ。
4年天理に住みましたが月1回演奏あったらラッキー程度、
大阪帰ったらさらになくなり、雅楽難民になったのを今でも覚えています・・・
とまあ今はお稽古する場所も、演奏現場も俄然増えましたが
今年はコロナで全然です・・・
ということで、お稽古募集中!笑
とはいえ、近くの雅楽団体でやればいいじゃんと思う人もいますが
先ほど言ったように、
全部ではないですがまあ他の雅楽団体ってメッチャ排他的ですよ。
経験者でも初心者からやらないといけないとか、
まあ入会費や月会費とかその辺も踏まえても、経験者からしたら
コスパ面で入るのを断念する人も多いかと思います。
まあ地元帰って親のツテとかで入れる人がいるか、
学生の頃にできたツテとかで続けれる人もいますが、それくらいですね。
この点は正直雅楽界の大きな問題でもあったりします・・・
4, そもそもおもしろさが伝わらない問題
まあこれは1の音楽教育の問題とも似たり寄ったりですが
正直これを伝えるのめーっちゃむずかしい!
なんしテンポ感・譜面の違い・楽器の特性
いろんなことを教えた上で伝えていくのってすごく難しいですね。
自分が学生時代思ったのも実際面白くなかったのもわかってるから
尚更ですね。
舞楽になるとやっぱりテンポが軽快になるんで、
やりたい!て思えるようになる人も多いんですが
管絃だけの練習だと苦痛になる気持ちもわかります。
中学校の時、天理に毎週1回車で片道1時間半かけて練習会にいっていましたが
管絃ばっかりで正直きつかったです・・・
高校入って舞楽やりだしてから、雅楽の楽しさを初めてしった
感覚なので
まあ今は管絃でも全然楽しく吹けますが
これは指導者のアビリティ、能力が試されるところかとは思います。
ここを伝えれるようになれれば、多分若い人もやってくれるかなー?
なんにせよ、子どもにやらせるのってすごく難しかったりします。
5, どうすればいいのか?
んじゃあ若手がやる環境を作るにはどうしたら良いのか?
こういう話もしていきましょう。
平たく言うと、今売れているビジネススタイルとかはどういうものか?
ここを勉強していくとよりわかってくるかと思います。
まず一つあげたいのがこれまでは年功序列のような縦の関係が
強い団体なども多かったと思いますが、今後はメンバーや講師・受講する側も
フラットな関係、「横」を重視する団体が伸びていきます。
これは今世間でも流行っている「オンラインサロン」なんかもそうでしょう。
オンラインサロン、みなさんご存じですかー?
キンコンの西野さんや、ホリエモン、オリラジの中田敦彦さん、最近ではビジネス系で
イケハヤさん、鴨頭さん、ハーチューさんなんかがやっていたりする
クローズドなネット上のサロンで、
昔で言う「ファンクラブ」のフラット版なんですね。
ファンクラブは月額で入会してそのすきなアーティストのファン達で集まり、
その当人はファンと関わることはないという仕組みですが
オンラインサロンは同じ月額などを払い
主催している人もそのサロンの参加者、
要は主催している側、参加している側も
対等、「フラット」な関係でサロン内で交流をしたり、ビジネスや事業に対して
指導やコーチングなどをしたりしているんですね。
これは雅楽にも同じことが言えて、年齢・年数、そういうの関係なく
お互いが対等にお稽古をしていく環境を作ること、これが重要になってきます。
フラットであることからお互い気を遣う必要がないわけです。
楽にお稽古をつけることができ、講師は講師で、受講者は受講者で学ぶ姿勢を忘れずにやることが肝心なんですね。
そして「正しい雅楽」を教えるよりも、「おもしろい雅楽」、を教えるといいですね。
まあこういう言い方したら誰か批判してくるかな?
でもおもしろくなかったらやりたくないでしょ?
僕は面白いから雅楽を続けていますし、そこを伝えていきたいんですよね。
今の世の中やっぱり窮屈なルールが多かったりするので、
無駄なものを撤廃していく、ここに重きをおいてやるのが重要なわけです。
みんな同じ人間なんですから。年齢年数関係なく雅楽を続けていくこと、
これが大きく重要になってくるんだなと思います。
若くて勢いがある子はどんどん起用していくことも重要です。
山口は10月に演奏会また開催させて頂きますが、
今回も小学5年生の子が力を持っているからこそ、全曲に出演していただきます。
普通の団体じゃまあ考えられないですよね?
演奏できる人は年齢関係なくどんどん演奏の場を与えてこれを糧に
次の場数を増やせるきっかけになるので、
どんどん新しい若手が出てくることを期待したいところですね。
後はやっぱり、フラットな関係になるというのは団体内に収める話しではなく、
外の団体にも目を向けてやる必要があります。
正味どこの団体でできてもいいじゃないですか?
そうしなければ高校や大学で雅楽をやっている子だって入りやすいですし、
学校や団体なんかで卒業後地方に帰ったときとかに
そういうパイプ作るのが手っ取り早かったりしますが
そういうのを構築していってフラットな関係でやる環境を作ることも
重要になってきますね。
それができたら苦労しねえよとか言われそうですが
あくまで理想論にお話になってしまいましたが、
今後雅楽自体を発展させるためにもそうなることを願うばかりです。
という感じでちょっと今日は難しい話をしましたが
本日のまとめです。
1, 日本の音楽教育の問題
西洋音楽に走った
2, 民間の雅楽団体の問題
サラリーマン体制の問題
3, 部活動で習熟した後問題
やる場所がない
4, そもそも単に面白さを伝えれていない問題
テンポなどがどうも耳に馴染まない
5, どうすれば伝わるの?
まずはフラットな関係の構築
とまあ、このような感じでおはなししましたが
今日はまあ中級者向けかな?難しい話しだったと思いますがみていただき、
まことにありがとうございます。
山口自身は基本的にはフラットでお稽古や練習をやっていますので、
そういう環境でやりたい人を歓迎しております。
来月から本格的にオンラインサロンの運営もやっていく予定ですので
お楽しみを。
それでは本日はここまで
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