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2020.06.08ブログ

雅楽にも調子がある!? 十二律と調子のお話








みなさんこんにちは。山口です。

本日のお題は雅楽にも西洋の音楽で言う

ハ短調やト短調のような

「調子」があるというお話です。

雅楽にもドレミファソラシドのような十二階が

一応あったりします。

本日はそんな

初心者でもわかるように

音階と調子について

おはなしさせていただきます。

目次

1,十二律とは?

雅楽の音には

一オクターブの中に12個の音律

をつくりだす、

「三分損益法」

という中国の理論に従って

定めているようです。

なんかいきなりめっちゃ難しいワードが出てきましたね・・・笑

この「三分損益法」というのは、「ピタゴラス音律」

すなわち、後のドレミファソラシドと同じ原理なんですね。

それぞれの固有の名称をもった

12の音の名を「十二律」とよび、

平安時代に日本独自の名称になったそうです。

平均律と純正律

12の音というのは半音の感覚で配置をしていく「平均律」という

同じ感覚で音がならべられている方法で配置をしますが、

雅楽はその音の響きを重視している「純正律」

がつかわれているため、

均等にはなっていないのが特徴的です。

雅楽の中の十二音の名称

この中ので雅楽の十二音というのは以下の通りです。

音名       コード  音階

壱越(いちこつ)  D    レ

上無(かみむ)   C♯    ド♯

神仙(しんせん)  C    ド

盤渉(ばんしき)  B    シ

鸞鏡(らんけい)  A♯    ラ♯

黄鐘(おうしき)  A    ラ

鳧鐘(ふしょう)  G♯    ソ♯

双調(そうじょう) G    ソ

下無(しもむ)   F♯   ファ♯

勝絶(しょうぜつ) F    ファ

平調(ひょうじょう)E    ミ

断金(だんきん)  D♯   レ♯


この十二音からなり、これが平安時代から日本独自の名称になりました。

2,六調子について

次に「六調子」について話します。

雅楽には中国大陸から伝来した「唐楽(とうがく)」、

朝鮮半島から伝来した「高麗楽(こまがく)」

がありますが、

今回は「唐楽」のお話。

この調子というのは各調子「主音」

がちがうのが大きな特徴です。

この音を中心として曲が展開され、

最後曲の終わりはその音で終わるのが

雅楽の原則ですが

先ほどの十二律の名前に「調」

をつけたものがその調子の呼び名に

なっています。

現在ではその調子が「六調子」あります。

壱越調(いちこつちょう)

主音が「レ」「D」の調子。

絃と管で音階が異なる不思議な音が重なる

非常にユニークな調子です。

ある説によると、ここででてくる勝絶(しょうぜつ)と

下無(しもむ)の音というのは

5通りあるとか。

現在は2種類が通例ですが、

そんだけわけて演奏していたそうです。

主な曲としては
「蘭陵王(らんりょうおう)」「胡飲酒(こんじゅ)」
「賀殿(かてん)」「迦陵頻(かりょうびん)」

などがあります。

平調(ひょうじょう)

主音が「ミ」「E」の調子

雅楽を始めるときにやる調子でもあり

平安時代は天皇や上皇が「御遊(おあそび)」という

イベントを主催した際、よく演奏されたとも言われています。

現在では結婚式などおめでたいときや、

秋の季節などにも奏でられる調子であったりします。

主な曲は
「越殿楽(えてんらく)」「五常楽(ごしょうらく)」

「陪臚(ばいろ)」「皇じょう」「萬歳楽(まんざいらく)」など

双調(そうじょう)

主音が「ソ」「G」の調子

明るい雰囲気の曲が多く、

ほとんどの曲は壱越調から移調「渡物(わたしもの)」

された曲がほとんどです。

春先に奏でられることが多い調子です。

主な曲
「賀殿(かてん)」「「酒胡子(しゅこし)」
「柳花苑(りゅうかえん)」「春庭楽(しゅんていらく)」 等

黄鐘調(おうしきちょう)

主音が「ラ」「A」

篳篥が一番高い音であり、

笙が一番低い音が主音のため、

幅広い演奏が出来るのが特徴的です。

夏に奏でられることが多い

調子です。

主な曲は
「越殿楽(えてんらく)「拾翠楽(じゅすいらく)」
「西王楽(さいおうらく)」「千秋楽(せんしゅうらく)」

などがあります。

盤渉調(ばんしきちょう)

主音が「シ」「B」の調子。

全体的にくらく作られている曲が多く、

葬式で演奏されることが多い曲で、

冬場に奏でられることが多い曲です。

主な曲は
「蘇莫者(そまくしゃ)」「青海波(せいがいは)」
「越殿楽(えてんらく)」

などがあります。

太食調(たいしきちょう)

平調と同じく「ラ」と「E」が主音の調子です。

平調が「律」で太食調が「呂」であるため、

平調と別になります。

主な曲は
「抜頭(ばとう)」「還城楽(げんじょうらく)」
「太平楽(たいへいらく)(合歓塩)」「長慶子(ちょうけいし)

などがあります。

3,呂・律について

六調子の音階の違いから

「呂」と「律」に分かれます。

西洋で言う「長調」が「呂」、「短調」が「律」に分かれます。

長調というのは平たく言えば明るい感じの

構成の曲ですね。歓喜系の歌とかがそうですよね。

短調は暗くて悲しい感じの構成の曲ですね。

エリーゼのためにとか月光とか、そういう

悲しみがある曲は多かったりします。

雅楽においては絃楽器の調律に左右されるのが

「呂」と「律」てことを覚えたら良いかと思います。

呂・・・壱越調、双調、太食調
律・・・平調、黄鐘調、盤渉調

この「呂」と「律」で大きく左右されるのが

「渡物(わたしもの)」だったりします。

4,渡物(わたしもの)について

渡物(わたしもの)というのは

移調された曲のことを指します。

例えば壱越調→双調に移調された曲というのが

これに該当するわけです。

西洋で言えば、ト短調からハ長調に

移調したりとかで

平たく言えばカラオケで原曲キーから

歌いづらいから何音か下げたり上げたりする時

音程が変わる、あのような感覚です。

ただし、雅楽の場合は若干そこがちがいます。

単純な平行移動ではなく、

音の役割によって移し方が変わります。

例えば黄鐘が神仙に本来変わるはずのところが、

双調だと神仙を使うことが少ない、その時に

双調のニュアンスだと壱越の方が合ってるから

壱越になってたりします。

その為、同じ曲でも移され方が全然違う曲になります。

その為、カラオケのような移調すると同じ曲には

ならないのです。

渡物は原則、「呂」と「律」の中でしか移調できないようになっています。

例えば

越殿楽 平調、黄鐘調、盤渉調 「律」

青海波 黄鐘調、盤渉調 「律」

賀殿  壱越調 双調 「呂」

酒胡子 壱越調 双調 「律」

例外的なものとしては

「迦陵頻(鳥)」 「壱越調」「黄鐘調」「盤渉調」

があったりします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今日は非常に難しい話をしました。

音楽系の大学行っている人ならまあ普通に

知っていることかと思いますが

こういう音楽的なことも知識としてもっておくのも

重要かと思います。

今日のお話は

1,十二律とは、雅楽における十二音階がある。(上記参照)
2、六調子とは? 壱越調、平調、双調、黄鐘調、盤渉調、太食調
3、呂・律について 呂は長調。律は短調。
4,渡物について 平たく言えば移調された曲。ただし、カラオケのように移調して同じフレーズにならなかったりする

という感じのお話でした。

今日はここまで!

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